掲の分類は一般的に使用されたものを取り上げたが、他にも特殊な事例としては以下のようなものがある。、
ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダー(スペイン、1769年)
120門3層艦の甲板を増やし、4層144門艦、後に136門としたものである。サンティシマ・トリニダーは建造当時世界で唯一の120門艦であり、1795年に改装を受けると世界で最も多数の砲を装備した戦列艦となった。しかし帆走性能は劣悪で、「El Ponderoso」(巨大なのろま、といった意味)というあだ名が付くほどであった。トラファルガーの海戦ではイギリス艦隊の集中攻撃を受けて早期に降伏している。他の4層艦としては以前触れたアメリカ海軍のペンシルヴァニアがある。
グラットン(イギリス、1795年購入)
グラットンは史上唯一のカロネードのみで武装した戦列艦である。門数自体は56門と当時の戦列艦としては少ないが、通常の艦が高々36ポンド砲しか装備していなかったのに対し、グラットンは64ポンドカロネードであったため近距離での投射重量では1等艦に比肩した。
セント・ローレンス(イギリス、1814年)
米英戦争時にオンタリオ湖で建造された112門艦である。湖外に移動できないため戦争が終結すると不要となり、翌1815年退役した。その後沈められたが、現在でも湖底に残っている。設計は珍しいものではないが、唯一の淡水専用の戦列艦だといわれている。
レイジー
2層戦列艦の甲板を削減し、フリゲートに改装したものである。戦術的価値の低くなった64門艦などがこの改装を受けた。
封鎖艦
旧式の74門艦に簡単な装甲と推進器を取り付けた艦で、沿岸砲撃に利用された。主に1845年ごろのイギリスで作られ、クリミア戦争などに投入された。
武装と戦術
武装
カノン(長砲)
戦列艦の主な兵器はカノンであるが、陸戦用のものとは仕様が異なっていた。カノンを載せる砲車はトラックと呼ばれ、陸戦用のものが二輪であったのに対して、おおよそ四輪であり、また船体と索でつながれていた。これは発射の反動により砲が後退するのを抑えるためのものである。戦列艦の発展は基本的に船を巨大化させ、載せる砲の数を増やす方向で行われ、36ポンド砲以上の大口径化などはほとんどなかった。これは、当時の砲は前装砲であるため装弾の際に砲は仰角をとらなければならないことに起因する。砲が大型であれば人力による操作が困難になるために利用されなかったのである
なお、本文中でも多用されている「74門艦」のような門数は普通カノンのみを数え、下記のカロネードや旋回砲は計上しない。
カロネード
18世紀後半からイギリス海軍ではカロネードが採用されている。これは短砲身の大口径砲で、接近戦では大きな威力を発揮した。
砲弾
戦列艦用の砲で用いられる砲弾には多くの種類があった。戦列艦が用いられた時代の海戦の目的は艦を撃沈することではなく、乗員を殺傷する、または索具を切断するなどして航行不能に陥らせるということに主眼が置かれていた。特にフランス軍は風下から索具を狙って砲撃した後に戦場から退避する戦術を多用したため、砲弾を鎖や鉄棒で繋いで索具に命中しやすくした砲弾も使用していた。通常の球形弾を用いた際の艦砲の最大射程は2-3km程度であったが、接近して「ピストルの射程で」片舷斉射を行うことが多かった。この際には砲弾を複数発装填して破壊力を増したり、マスケット弾を多数装填して甲板上の敵兵を狙うような戦術も多用された。
小火器
戦列艦は砲列や後甲板に設置された大砲のほかにも火砲を備えていた。旋回砲(swivel gun)は旋回・俯仰が可能な砲架に小口径砲を搭載したもので、接近戦時に敵甲板を射撃するために用いられた。他には海兵隊がマスケットを装備しており、甲板上に整列して射撃したり、あるいはマスト上からの狙撃に使用する。艦長によっては狙撃兵にライフルを配備することもあり、ネルソン提督を狙撃したルドゥタブルもそのような戦列艦だった。
切り込み
戦列艦による海戦ではしばしば数十メートルの近距離での砲撃戦となり、時には「舷々相摩す」[4]状態となった。このような状態では海兵隊員や水兵にピストルや短剣、槍を持たせて敵艦を襲撃し、制圧を試みることがあった。しかし接舷戦闘は砲撃戦で一方の艦が大きく損傷してから行われることが多く、大規模な切り込みが生起することは少なかった。海戦時に降伏する艦の多くは砲撃だけによって降伏に至ったのである。
戦術
長い間戦列艦による戦法は単縦陣を形成しての砲撃戦が支配的であった。戦列戦術は舷側に砲を配置する戦列艦の特性を生かすものではあったが、第2次百年戦争で次第に戦列を墨守しても決定的打撃を与えられないことが認識されるようになった。そのためネルソン提督は戦列による同航戦に替わって乱戦戦術を採用し、彼の指揮下のイギリス艦隊はトラファルガーの海戦において敵戦列中央を突破して分断し、各個撃破する戦法で勝利を収める。イギリス艦隊の先陣を切ったロイヤル・ソブリンとヴィクトリーは大きな損害を受けたが、敵艦隊との錬度・士気の差もあって後続艦が到着するまで耐え抜くことに成功し、以降は局所的優勢を確立したイギリス艦隊が優位に戦いを進めた。こうして戦列を原則とすることは見直されたが、その後戦列艦による艦隊決戦は発生しなかった。
現存する戦列艦
現在も往時のまま保管されている戦列艦はヴィクトリーだけで、これは記念艦としてネルソン提督がトラファルガーで指揮した時と同じ姿を保っている。現在ヴィクトリーは乾ドックに入ってはいるが、なおもイギリス海軍の現役の軍艦であり、世界最古の現役艦でもある。
スウェーデンのヴァーサは1628年にバルト海で沈んだ64門艦で、1956年に発見された。そして1961年に非常に良好な状態で引き揚げられ現在はストックホルムのヴァーサ博物館として公開されている。ヴァーサは建造当時スウェーデンで最大の戦列艦だったが、今日ではスウェーデンで最も人気のある博物館である。
こどまり バーベキュー スターライト ハンバ むぎわら ヘデラ スクエア レポレート タチアオイ かささ あとがま レムリア 紙飛行 モノカイ サフル サウジ ラノオ ダクション かしはら デコラ フルス レべリング クンツ フェライト かぶとが ピンチ ナビユタ わらび野 コロポ リパー ライセ あねご トーテム 世界一周 しゃな ロコモー シュー ファーム てごろ ンソウ ドライ リード オミット ドルチェ イズム セッティ スイート ハジサー つきほと 桃一郎
水中に残っているものとしては前述のセント・ローレンスがある。この艦はオンタリオ湖の沿岸に沈んでおり、ダイビングスポットとして人気がある。
広義の戦列艦ではポーツマスに装甲艦ウォーリアも展示されている。退役後50年もミルフォード・ヘイブンで突堤となっていたウォーリアだが、現在では往時の輝かしい姿に復元されている。ポーツマスには他に1510年進水の78門キャラックであるメアリー・ローズから引き上げられた遺品も展示されており、帆走軍艦での水兵たちの生活を知る良い資料となるだろう。
文学の中の戦列艦
アメリカ独立戦争からナポレオン戦争にかけてのイギリス海軍を舞台にした海洋冒険小説は多数存在するが、戦列艦を題材にしたものはフリゲートに比べ少ない。これはフリゲートが多種多様な任務に単独で使われたのに対して、戦列艦は艦隊の一部として行動することが多く冒険性が少ないことが原因として挙げられる。このような見方は18世紀当時から存在しており、特にフリゲートは敵艦船を捕獲して賞金を得る機会に恵まれていると考えられていた。戦列艦を書名に持つ作品としてはセシル・スコット・フォレスターのホーンブロワーシリーズに「燃える戦列艦」(原題:A Ship of the Line)があるが、これはスペイン沿岸での単独行動を描いたもので戦列艦本来の任務とは言い難い。